第一話 旅立ちの朝 ~はじめてのハローワーク~
遂に電話がかかってきた。
勇者の足元には年金納付書が散らばっていた。
内容は想像した通り、未納分の年金についてである。
このままでは五ヶ月もの無職期間を許容してくれていた母も只ではおかないだろう。
ここまでか…
勇者はひとまず町の役場へと向かった。
書類を提出し若年者猶予なんとかの申請を行った。
勇者はその足で魔城ハローワークへと向かったのである。
ちらりとそれらに目を通し、遂に魔城ハローワークへと足を踏み入れた。
城の中では沢山の勇者がジョブチェンジをする情報を収集しているようだ。
あたかも毎日通ってますてな虚勢を張りつつカウンターへ進んだ。
「パソコンで検索なさいますか?」
優しそうなお姉さんである。
パソコンで検索する以外にはどうやらカウンターで職員と一対一で対決せねばならないようだ。
指定されたパソコンで適当な情報を入力し、目ぼしい求人を印刷していく。
どうやら一人五枚までのようだ。
30分の利用時間が過ぎ、とりあえず帰宅することにした。
ひとまず就活の意思をみせれば母も許してくれるであろう。
だが、現実はそんなに甘くはない。
「求人情報の中から一番いいと思うものにとりあえず応募してみなさい。」
痛恨の一撃である。
帰宅して早々再び魔城へ向かうことになった。
カウンターに行くと今度は優しそうなおばさんがたっていた。
どうやらハローワークでは登録を行わなければならなかったようだ。
若年者向けカウンターに通され、なんやかんやでアイテム【紹介状】をゲットすることに成功した。
こうして勇者は第一のクエストを終えたのである。
来週の試練!『第二話 嵐の予感 ~履歴書かいてないわ!!!~』